2020/03/19 12:24
足りない部分を補い合い
お互いを引き立て合う
それが、ガラス破片を漆で包む器『包』のコンセプト
漆は、ウルシの木の幹に傷がついた時に染み出してくる樹液。
その樹液には「湿気と反応して固まる」という性質があり、
染み出た樹液が、まるでカサブタのように固まり、
傷を覆い、傷を癒します。
そこには壊れてしまったものを治す優しさがあります。
『包』は、壊れてしまったガラスコップの足りない部分を、漆で再生した器
『包』は、ガラスコップに漆を塗ったものではなく、
ガラス破片を漆で優しく包み込んだ器です。
ガラスは見えている部分だけ。
それ以外の部分は、漆と独自の漆技法を用いて形ができています。
見た目は、ガラスコップを部分的に漆塗りしたものに見えるかもしれない。
でも違う。
“ガラス”と“漆”なのです。
お互い、全く違う素材。
キラキラと艶々
透明と不透明
重いと軽い
硬いと柔らかみ
ツルツルとしっとり
そのどれもが、それぞれの個性。
足りない部分は補い合えばいい。
そして、お互いを引き立て合うことにつながる。
だから、漆でガラスを覆い隠さない。
破面だけを漆でつなぐ。