強度確保のため、まだ薄い、もう一回、もう一回と繰り返し漆を塗り重ねてきた。

もちろん強度確保が一番の大きな理由ではあるものの、完成させることへの恐怖が僕をそうさせている部分もある。

完成した時点で、一つの結果が出る。そのとき、どんなものになっているか。

数ヶ月かけて、それこそ100回以上手をかけたとしても、なんだこれなことは当たり前にあることだ。

誰かからリクエストされたものでないから尚更。

でも、どんなものでも、熱意を持って取りかかったものは、どんな結果が待っていようとゴールテープを切る。形にする。

仮にそれが思い通りのものにならなかったとしても、その先へ進みたいから。

#漆  #アート #工芸  #武藤久由